冷泉荘が国登録有形文化財に登録予定（民間事業者を建築主とした戦後初期のRC 造民間集合住宅として全国初） | スペースＲデザイン

2024年7月19日（金）、国の文化審議会文化財分科会において、冷泉荘（福岡市博多区）が国登録有形文化財（建造物）として文部科学大臣に答申されました。官報告示を経て正式に登録される予定です。

【冷泉荘（旧八木アパート）】

区分（種別）：国登録有形文化財（建造物）
所在地：福岡県福岡市博多区上川端町９番３５号
所有者：吉原住宅有限会社

冷泉荘（旧八木アパート）について

民間事業者を建築主とした戦後初期のRC 造民間集合住宅として全国初の登録
所有者の基本理念である“福岡の古い建物を大切にする考え方の実践（ビルストック活用）”に基づき建物の特徴や来歴を尊重した､積極的な保存活用の取組
集合住宅としての昭和中期の間取りや設えが保存されている「当初部屋」

1) 建設／改修年代等
昭和３３年／平成２３年耐震改修

2) 構造及び形式、規模
鉄筋コンクリート造（以下、RC造）地上 5 階地下１階建、建築面積 211㎡、塔屋付

3) 登録基準
（一）国土の歴史的景観に寄与しているもの
冷泉荘（旧八木アパート）は、旧博多部に残る戦後復興期の貴重な民間集合住宅であり、地域の歴史的景観に寄与しているものとして評価されました。

4）設計・施工
設計：田中勇雄
施工：田中建設工業株式会社
現在の工学院大学建築学科を卒業後、松田（松田昌平）建築事務所勤務を経て、1956年に田中建設工業株式会社を創業。現福岡県建設業協会の理事長を務めるなど、戦後福岡の建設業の復興を支えた人物の一人。冷泉荘は田中建設工業株式会社として初期の作品。

5）来歴
昭和33年：八木良衛（八木住宅合資会社の創業者）により、「八木アパート」（民間賃貸住宅）として建設。
昭和40年：現所有者の吉原住宅有限会社が本建物を取得。「冷泉荘」と改称し、賃貸集合住宅の経営を継承。
平成18年：「リノベーションミュージアム冷泉荘」として従前の各住戸部分を事務所や店舗、アトリエとして用途変更し活用。現在に至る。

6）敷地の周辺環境
本建物が所在する博多区上川端町は、博多で最初に栄えた商業の町として、博多文化の伝統が色濃く残るが、戦時中の福岡大空襲では一面が焼け野原になった地域である。当地域は戦災復興時には、商業地として都市の不燃化を図り、耐火建築物となるRC造公営住宅等がいち早く建設されている。本建物もその過程でRC造の集合住宅として建設された。

7）保存活用
冷泉荘（旧八木アパート）は民間事業者を建築主とする、RC造民間集合住宅として建設された。現在の所有者である吉原住宅有限会社の基本理念である“福岡の古い建物を大切にする考え方の実践（ビルストック活用）”のもと、平成23年の耐震改修時も、竣工時の建物の特徴や竣工後の来歴を尊重した工事を実施、現在も積極的な保存活用に取り組まれている。その取組は平成24年（2011）に第25回福岡市都市景観賞（活動部門）を受賞している。

【冷泉荘 WEBサイト】
https://www.reizensou.com/about/

【2024年7月6・7日開催のイベント風景】

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