異なる個性が隣り合わせのまち、六本松
九州大学六本松キャンパス跡地の再開発事業による大型複合施設「六本松421」の開業や、
路地が残るまちの中に点在するローカルな名店に、近年注目が集まっている六本松エリア。
六本松421(六本松4丁目)
64ストリート(六本松4丁目の路地)
「西浦ルービック(旧:西浦アパート)」が位置するのは、再開発が行われた六本松4丁目に隣接する「六本松1丁目」。
六本松の大通りから一本入ると、雰囲気は一変。
昭和の暮らしの雰囲気が色濃く残るまち並みの中に、店舗、アーティストのスタジオなどができ始め、
個性的で新しいお店と歴史ある住居とが混じり合うエリアです。
歴史の移り変わりとともに、それぞれ異なる変化・発展をしてきた隣り合わせのエリア。
六本松4丁目の大通りと路地裏、そして六本松1丁目。
「西浦アパート」は1971年の建築当時から50年近く、まちの歴史の中に在り続け、その変遷を見守ってきました。
まちの歴史を物語る建物
この建物は建築当時、九州大学六本松キャンパス生向けのアパートとして運営されていました。
当時六本松には九大生向けの下宿やアパートが多く存在したそうですが、
先代のオーナーさんは、九大生協へ紹介チラシを持ち込むなど丁寧な運営管理を行われ、昭和期頃のアパートは高稼働だったようです。
建物外観(コインシャワー撤去前)
また当時は、建物周辺に銭湯がいくつもあり、まちの人に日々利用され活気をみせていました。
その銭湯が時代の変化とともに少なくなってきた頃、先代は入居者さんのことを想い、敷地内にコインシャワーを設置。
当時も今も、とてもめずらしい風景でした。
このたびコインシャワーは撤去されましたが、その痕跡は六本松のまちの変遷と建物の歩みとして、大切に残していくことにしています。
まちの移り変わりの中で、九大は移転し解体され、銭湯や近くの商店街は姿を消していきました。
50年間、まちの変遷を見てきた建物。
時代に合わせて建物の使い方は変わっていきますが、先代から大切にされてきた入居者さんへの想いと建物の歴史は脈々と受け継がれます。
これからも、まちをつくってきた人たちの歴史を伝え続けてくれる存在であってほしいと願います。
「西浦アパート」から「西浦ルービック」へ
これまで九大生向けのアパートとしてまちの変化を見続けてきた「西浦アパート」。
これからは、店舗やオフィスとして利用できる仕事場へ生まれ変わります。
全体的に建築時の雰囲気を残しながら、そこに新たなリノベ空間と、自由に改装できる部屋を挿入。
内装・使い方・組合せを変えることで各部屋の機能と全体の表情が一変します。
まるで何層かの立体的なパズルを組み替えていくように。
このことから連想したのがルービックキューブ。
もともと2階は和室4室で構成されていましたが、
今回のプロジェクトでは、奥の2部屋を1つにつなげてリノベーションした14.8畳のお部屋(ROOM1)と、
自由に改装できる建築当時の状態の2部屋へと変更しています。
異なる個性が隣り合う六本松のまちのように、
組み合わせる楽しさ、入居者さんの使い方によって表情が変わる仕事場。
変化するまち、長く大切にされてきた建物の歴史と西浦オーナーの想い、
そしてルービックキューブの楽しさと発想をヒントに生まれた「西浦ルービック」です。
西浦ルービック概要
項目 | 内容 |
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所在地 | 〒810-0044 福岡県福岡市中央区六本松1-8-4 |
交通 | 福岡市地下鉄七隈線「六本松駅」2番出口より徒歩4分 |
構造 | 木造2階建て |
築造年月 | 昭和46年(1971年)11月 |